ここでは、業務委託契約書に明記するべき基本的な項目を紹介していきます。一方的に不利な契約にならないよう、クライアントとともに一つ一つ項目を確認しながら、疑問点や曖昧な点をクリアにしたうえで契約を結びましょう。
【委託業務の内容】
業務内容や業務工程は、できる限り具体的に明記しましょう。仕様書や設計書、設計図面、企画書など、追加資料を添付してもらうのも大事です。契約時に業務内容の詳細がまだ決定していない場合は、どのようにして業務内容を詰めていくのか、その手順が具体的に明記されていると、業務がスムーズに進みます。
また、業務範囲や責任範囲が曖昧である場合、契約後に想定外の追加業務が発生したり、責任を押し付けられたりすることもあるため、そこも明確にしておきましょう。
【報酬】
報酬の金額や内訳、報酬の支払時期、支払方法を具体的に明記することが大事です。特に報酬の算定方法は、細かく相談しておきましょう。
なお、請負契約の場合、納品完了の段階で報酬が支払われるのが一般的です。委託契約の場合、月額(一定期間)での金額もしくは、成果報酬の計算方法が契約書に明記されるケースが多いようです。
業務を行う上で移動や宿泊が必要になる場合、その費用が報酬に含まれるのかどうかの確認も大事です。経費の線引は曖昧のようなので、どこまでなら必要経費と認められるのかも、できるだけ事前に明確にしておいた方がよいでしょう。
【損害賠償】
契約違反などがあった場合の損害賠償についても明記しておきましょう。損害賠償について契約書に記載していない場合、損害賠償が発生し、クライアントに多額の賠償金を支払わなければならない可能性があります。
知的財産権の発生を目的とした契約の場合や、厳しい秘密保持義務があるの契約の場合、特に慎重に契約する必要があります。
【途中解除の有無】
委託業務契約の途中解除に関するトラブルは、フリーランスとクライアントの間で発生しがちのようです。そのため、委託業務契約の途中解除についても、契約時に確認しておく必要があります。
有効期限が定められた業務委託契約では、原則として期間満了までは契約を終了することはできません。しかし、契約内容と実際の業務内容が著しく異なっており、中途解除せざるを得ない場合もあるでしょう。ただし、中途解約した場合、契約不履行として報酬を支払わないクライアントもいます。そのため中途解約時の条項として、有効期限までの業務委託の報酬の支払いを保証する旨を付け加えてもらうべきでしょう。
業務委託契約書をくまなく確認しても、法律に明るくない限り、契約後にトラブルが発生する可能性はゼロではありません。契約に関して自信がない、余計なトラブルに巻き込まれたくないという人は、契約を法律のプロである弁護士に任せるという方法もあります。弁護士に依頼すれば、こちらが不利にならないような契約を結んでもらえます。しかし、弁護士に依頼するとなるとそれなりに費用が発生するため、報酬と弁護士費用をしっかりと比較した上で検討しましょう。
また、案件獲得の際、エージェントにすべて任せるという手もあります。IT系フリーランスを専門に扱っているエージェントであれば、自分に合った案件の紹介から契約までしっかりとサポートしてもらえます。
フリーエンジニアにとって、クライアントとの契約が口約束で済まされてしまうと、「言った」「言わない」の水掛け論になった場合、自分の身を守る術がありません。業務委託契約を結ぶのであれば、少なくとも双方がお互いに権利を行使し義務を負う以上、合意内容を記した契約書を作成し、署名捺印した原本を1通ずつ保管するのが原則です。こうしておけば、後に裁判になっても、この契約書が証拠となります。仮に一方から差し入れるだけの場合にも、コピーをもらうようにしましょう。
契約書は必ず2通の続きを読む体が資本のフリーランスにとって、健康は基本中の基本です。クライアントから依頼を受けた仕事の完成は自分の責任であり、たとえ突発的な病気や怪我によって仕事ができなくなったとしても、自分の代わりはいないのです。仕事の完成が納期に間に合わなかったり、あるいは完成した仕事が希望に合わなければ、クライアントから賠償を求められるかもしれませんし、そうでなくても信頼関係が損なわれ、その後の契約の継続も怪しくなります。
健康が資本の続きを読むフリーエンジニアにとって、案件の獲得は文字通りの死活問題です。従来どおりの人脈を利用した知人による紹介から、少しずつクライアントを広げて行くという手法は健在です。しかし最近では、フリーランス向けの案件紹介サービスを展開する、専門のエージェントを利用するという手もあります。第三者が介在することでフリーエンジニアの交渉力が高まったり、契約を明確化するなど、最適なマッチングをサポートする体制を整えています。
問題が起こりにくい案件獲得法の続きを読むIT業界では悪しき慣行として、「偽装請負」が横行していると言われています。それに加えてフリーエンジニアは、二次請けや三次請け、あるいは四次請けという形で仕事を受託している場合もあり、そのために「二重派遣」の問題も生じます。これは労働者派遣法違反となると同時に、職業安定法にも違反することになるのであり、処罰は知ってか知らずか、そのようなフリーエンジニアを受け入れているエンドユーザー企業にも及びます。
フリーランスがクライアントと業務委託契約を結ぶ際、契約書の内容に曖昧な点があると、後々クライアントと揉める可能性があります。トラブルを防ぐには、業務内容や報酬などを契約書にしっかりと明記しておくことが大切です。
契約書で明記しておくべきことの続きを読むフリーランスとは、一般的に会社など組織から独立した働き方を意味します。最近では企業が業務のアウトソーシング化に積極的なこともあって、フリーランスが活躍する場も広がっています。会社勤めのように会社の指揮命令に服することなく、仕事時間も仕事場所も自由であり、仕事の選択そのものも自由です。その一方で会社勤めのような身分の保障はなく、仕事を上手く獲得出来れば収入が上る代わりに、収入は不安定で、怪我や病気をしても生活の保障はありません。