フリーランスにとってもクライアントにとっても、業務委託契約を結ぶのは、ごく形式的なことと考えている面があるかもしれません。しかし後になって紛争が生じて裁判で争うことになったような場合、証拠能力を発揮するのがお互いに署名捺印を交わした契約書なのであり、口約束を「した」「しない」の水掛け論に終止符を打つものとして重要な意味があります。日本の商慣習上、契約書をわざわざ書面で取り交わすといのは、お互いの信頼関係を疑うようで失礼といった雰囲気がまだまだ色濃く残っています。クライアントによっては、フリーランスの立場の弱さを利用して、自分の側に有利なように事を運ぼうとすることもないわけではありません。
そこでフリーランスが自分の身を自分で守るためにも、クライアントとの契約は書面にして、お互いに署名捺印の上、1通ずつを保持するというのが原則といえるでしょう。例えば権利の放棄や金銭の贈与など、一方的に相手に何かをする契約であれば、「差し入れ形式」といって、権利者を名宛人として、義務者のみが署名捺印して権利者に渡すということがあります。
しかし業務委託契約はお互いがお互いに対して権利を行使し、義務を負うという内容であるため、お互いが後々に自分の主張を裏付けるための証拠書類として保管する意味でも、原本2通にそれぞれ署名捺印しておく方が良いのです。仮にどうしても1通のみ作成してクライアントが保管するという場合や、著作権等の放棄や秘密保持契約や念書など、タイトルは何であれ、一方的にフリーランスからクライアントへ署名捺印して書類を渡すよう求められる場合にも、そのコピーを必ずもらっておきましょう。
どれだけクライアントを信頼していても、また「これはほんの書面上の処理だけで、実際には違うから」といった口車に乗せられて、渡される書面に安易に署名捺印をすることは避けましょう。少なくとも必ず一読して、疑問点や玉虫色の文章については、質問をして充分内容を確認してから署名捺印することです。
また契約書とは名ばかりで、中身を後からクライアントが補充できるよう白紙に近いようなものは、要注意です。特に「白紙委任状」のように、何を誰に委任するのか分からない白紙状態の委任状に、署名捺印するのは非常に危険です。これが悪用されて知らない契約を結ばされていたとしても、署名捺印がある以上、契約は成立と判断されてしまいます。
また捨印も、例えば登記申請や各種行政官庁に提出するなど、専門資格を持った代理人が、軽微な訂正をできるように押印を求められる場合以外は、押印しないことです。仮に訂正印を使って勝手に訂正されたとしても、契約書の原本をお互いに保管していれば、相手が勝手に訂正したものかどうかが分かります。
フリーエンジニアにとって、クライアントとの契約が口約束で済まされてしまうと、「言った」「言わない」の水掛け論になった場合、自分の身を守る術がありません。業務委託契約を結ぶのであれば、少なくとも双方がお互いに権利を行使し義務を負う以上、合意内容を記した契約書を作成し、署名捺印した原本を1通ずつ保管するのが原則です。こうしておけば、後に裁判になっても、この契約書が証拠となります。仮に一方から差し入れるだけの場合にも、コピーをもらうようにしましょう。
契約書は必ず2通の続きを読む体が資本のフリーランスにとって、健康は基本中の基本です。クライアントから依頼を受けた仕事の完成は自分の責任であり、たとえ突発的な病気や怪我によって仕事ができなくなったとしても、自分の代わりはいないのです。仕事の完成が納期に間に合わなかったり、あるいは完成した仕事が希望に合わなければ、クライアントから賠償を求められるかもしれませんし、そうでなくても信頼関係が損なわれ、その後の契約の継続も怪しくなります。
健康が資本の続きを読むフリーエンジニアにとって、案件の獲得は文字通りの死活問題です。従来どおりの人脈を利用した知人による紹介から、少しずつクライアントを広げて行くという手法は健在です。しかし最近では、フリーランス向けの案件紹介サービスを展開する、専門のエージェントを利用するという手もあります。第三者が介在することでフリーエンジニアの交渉力が高まったり、契約を明確化するなど、最適なマッチングをサポートする体制を整えています。
問題が起こりにくい案件獲得法の続きを読むIT業界では悪しき慣行として、「偽装請負」が横行していると言われています。それに加えてフリーエンジニアは、二次請けや三次請け、あるいは四次請けという形で仕事を受託している場合もあり、そのために「二重派遣」の問題も生じます。これは労働者派遣法違反となると同時に、職業安定法にも違反することになるのであり、処罰は知ってか知らずか、そのようなフリーエンジニアを受け入れているエンドユーザー企業にも及びます。
フリーランスがクライアントと業務委託契約を結ぶ際、契約書の内容に曖昧な点があると、後々クライアントと揉める可能性があります。トラブルを防ぐには、業務内容や報酬などを契約書にしっかりと明記しておくことが大切です。
契約書で明記しておくべきことの続きを読むフリーランスとは、一般的に会社など組織から独立した働き方を意味します。最近では企業が業務のアウトソーシング化に積極的なこともあって、フリーランスが活躍する場も広がっています。会社勤めのように会社の指揮命令に服することなく、仕事時間も仕事場所も自由であり、仕事の選択そのものも自由です。その一方で会社勤めのような身分の保障はなく、仕事を上手く獲得出来れば収入が上る代わりに、収入は不安定で、怪我や病気をしても生活の保障はありません。